2010年10月17日日曜日

音楽を楽しむ

(9)
前回で、私が音楽が聞こえていない人と言いましたのは、聴覚に異常がある人のことではありません。私が言っているのは、音楽がちゃんと聞こえるような条件で聴いていない人のことです。まだ音楽の楽しさを味わったことのない人にはこのケースが多いのです。つまり、クラシック音楽は他の音楽と同じ聴き方ではちゃんと聞こえてこないのです。それにはいくつかの理由があります。次に、それを考察して見ましょう。

「クラシック音楽がちゃんと聞こえるための条件」は、次の3つです。
[1]一人で聴く、またはコンサートホールで聴く。
[2]静かなところで聴く。
[3]大きな音で聴く。
この3つが揃わないと音楽はちゃんと聞こえて来ません。以下にその理由を詳しく説明しましょう。

[1]一人で聴く:クラシック音楽の鑑賞には、特にメロディ、調性、音色、リズム、テンポなどの変化やこれらの構成の面白さを味わうという要素が多いという特徴があります。したがって、曲を隅々まで聴かないとその良さが分かりません。音楽の流れの中の一瞬の変化を聞き逃すだけで面白さがガクッと落ちるのです。他の人と一緒に聞いたのでは、それほど意識を集中することはできません。数分程度の小品は別として、本格的な曲は30分前後から1時間ほどは掛かります。どんなに親しい人とでも一緒に居れば30分間一言も話さないということは気詰まりでしょう。

しかし、会話が入ると人の意識はどうしても会話の方に向くようです。そして音楽は無視されます。途中でおやつでも食べるとそれでその一曲は完全に無視されます。人の意識というものは、どうやら食べ物と言葉を最も重要視しているようです。誰かと一緒に居る時にその人が何かを言えば、他のことに優先してそれに反応するでしょう。また、旅行などの体験をした時のことで、一番よく覚えているのは何かを食べた時のことでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿