2010年10月19日火曜日

音楽を楽しむ

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[2]静かなところで聴く、[3]大きな音で聴く:この2つは共通してクラシック音楽が音響的に他の音楽と大きく違う点、すなわち音響レベルの範囲が極めて広いことに関係しています。特に違うのは極めて小さな音が多く使われること、しかもそれが重要な表現で多く使われることです。

コンサートホールは、世間一般にはまずあり得ないほど静かです。奏者は楽譜をめくる時にも音を立てないように訓練されています。ですからどんなに小さな音でもよく聞こえます。音が小さいと聴衆は聞き逃すまいと意識を集中させますから、重要な表現が意図的に小さな音で演奏されることも多いのです。また、どんなに大きな音を出しても外には聞こえませんので大音響も遠慮なく使われます。クラシック音楽では、音の大きさの変化が他の音楽とは比べ物にならないほど大きいのです。

クラシック音楽の音の大きさの変化が非常に大きいということは、家庭で聞くときにはたいへん困ることです。家庭ではどんなに静かにしていても、コンサートホールよりもかなり騒音があります。音楽の静かな部分では、エアコンや冷蔵庫が動きだしても相当気になります。人の出入りや戸外からの騒音もあるでしょう。そういう状況でも小さな音をしっかり聞き取るためには少しボリュームを上げることになりますが、そうすると音楽の音が大きくなったときには、音が大きすぎて家族から、あるいは近隣からやかましいと苦情が出ます。したがって、普通の部屋で聴く時に、他の人の迷惑にならないように聴くためには、しょっちゅうボリュームを上げたり下げたりしなければなりません。それをしないと、重要な部分をかなり聞き逃してしまうか、やかましいと文句をいわれるかのどちらかになるのです。その結果、曲の構成や変化の面白さが十分に味わえなくなるのです。

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